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ちびレンジャー

みなさんご存知かと思いますが、僕はあまり身長が大きくありません。 数字で言ってしまえば、161cmしかないんですよ。 身長の小ささは昔からずっと変わらなくて、 小学校、中学校と背の順で並ぶ時に 前へならったことが一度もないんです。 小学校低学年当時、学年最低身長決定戦を繰り広げていた三強が、 この茂木と岡村くんと真壁くんだったのですが、 この三人はいつも保健室で身長を測っておりまして、不正がないよう、”かかとチェック”はもちろんなのですが、あの棒を頭にぐいぐいめり込むまで押し付けて、1ミリたりとも高さを稼がせないよう意地になっていたほど、それはそれは熱い戦いだったんですね。 なぜ、そんなに必死だったのか。 身長が一番小さいということは、一番前に立つ。そして、腰に手。 これは男として、いや、オスとしての本能だったのか。 その姿を義務教育期間中に晒し続けていたら、 女の子に全くモテない。と茂木は悟っていたのでしょう。 意地でも前に立ちたくありませんでしたね。 先ほど茂木は、一度も前へならったことがないと言ったのですが、正確には、2ヶ月間だけ前へならっていたことがありまして、 岡村くんに2ミリだけ身長が勝った時期が存在しました。 「やっと手を前に出せる!負のスパイラルから抜け出せる!」 と茂木は心の底から喜び、誰もが三強の勢力図が大きく動いた!と思ったに違いないのですが、 ここにきて岡村くんのイレギュラーな身長の伸び。 一瞬で僕の黄金時代は幕を閉じましたよね。 去勢手術をされてしまったかのように、茂木が戦意喪失したのは言うまでもありません。 その事件の後に開かれた全校集会で、再び二番手に返り咲いた岡村くんが僕を見て、鼻で笑ったときのあの顔。今でも忘れられませんね。 ---そんな小学校低学年時代のあるお昼休みのこと。 校庭にある猿山のような遊具のてっぺんに立った佐藤くんが、僕を見下しながらこう言いました。 「おい、ちびレンジャー!!!」 完全に僕のことを愚弄しています。 しかし “レンジャー”という言葉は、単独ではなく、複数人を指す言葉ということを茂木は理解していましたので 「ちびだけど、レンジャーじゃねーし!!!」 と、もっともな反論をしたのですが、小学校二年生くらいのときって、しつこいのが売りじゃないですか。その後も昼休み中にネチネチネチネチずっと「ちびレンジャー」発言をしてきたんですね。 佐藤くんに何を言っても聞かないので、僕はずっと耐え忍んでいたんですけど、 そのお陰でしょうね。今現在、茂木の”忍耐強さ”に定評があるのは。 (ありがとう。と言わせてもらおう佐藤くん、君のおかげで大切なモノを手に入れることができたよ。) ---そんな思い出が、この三人を見ていたら蘇ってきました。 春から入社した、新人のかなちゃんとまきちゃんの二人。 そして、去年入社したナナちゃん。 この三人に共通して言えること。 それは 身長が「ミニモニ。」クラスなんですね。 ということは クインテットメンバーの中に限り、ずっと僕が憧れ続けたこの図式が成り立ちます。 約20年越しの願いが成就された瞬間です。 そして、僕を合わせれば4人。 人数は十分。 即ち これが本当の「ちびレンジャー」と成るのです。 戦隊もののお決まり、隊長のポジショニングカラー レッドは僕です。誰にも渡しませんから。